第15章 explore
「ええ。頼むわ。」
「任せてください!」
純可がフンッと鼻を鳴らして、得意げに自身の胸をドンッと叩く。
そして私に手を差し伸べて、執事のお辞儀のように体を少し屈めた。
「では我が零番隊の瀬越隊長を最高の花火大会にお連れします。」
「どうも。」
私の素っ気ない返事にも純可は笑って、「さぁ行きましょう!」と言って私の手を引いて外に連れ出した。
「ほらほらここですここ!」
暗くなった夜の道を純可に手を引かれたまま歩き、到着したのは何故か瀞霊廷の穿界門の真ん前。
突然純可の温もりが手から消えたと思うと、純可は瞬歩で穿界門の屋根の上に移動し、座って私を見下ろしていた。
「ほら隊長も来てください!すごくいい眺めですよ!」
「…待ってて。」
私もすぐに瞬歩で純可の隣に移り、静かに屋根に腰掛けた。
穿界門の上は思っていたよりもかなり高く、周りに障害物も無いため遠くまで十分見渡せた。
夏の始まりを告げる生温い風に吹かれ、懐かしい匂いに自然と目尻が下がった。
「あともう少しで花火が打ち上がりますよ!一番隊の隊舎があんなにハッキリ見えるのなら、花火が見えないなんてことはまず無いですね!」
「そうね。」
子供のように足をブラブラと揺らし、無邪気に笑いながら私に純可が体をもたれかける。
「隊長は、やっぱり優しいですね。」