第15章 explore
(私も…こんな感じだったの…?)
輝く未来を夢見て、ずっと毎日を全力で走り続けて来た、過去の私はこんなだったのだろうか。
何よりも大切で、唯一無二の心のよりどころを無くし、中も外もズタボロになった私には分からなくなってしまった。
「あの…楽しくないですか…?」
黙って何も喋らない私に純可が不安げに聞いてくる。
「…いえ。楽しいです。とても。」
(…いつになったら、この状況から解放されるのだろう…。)
大量に打ち上がる花火をじっと眺めながら、私は久々に純可との穏やかな時間を過ごした。
そして本格的な夏の時期に差し掛かった日、私の元にある人が訪ねてきた。
隊首室の扉をノックする音は聞こえたのだが、扉の向こうにいるであろう人物の霊圧を感じないことに違和感を覚えた。
「…誰ですか。」
私が問いかけると、扉が静かに開き、女性が深く一礼してからその腰まである長い黒髪をなびかせ、部屋の中に入ってきた。
私はその女性が身に纏っている服を見て硬直した。
「雲雀様、お初にお目にかかります。私は雲雀様が瀞霊廷へ独り立ちされた後に、夔竜家の使用人として入った者です。」
その女性が着ていたのは死覇装ではなく、夔竜の使用人であることを証明する、白い歯車の模様が描かれた桜色の着物と紫色の袴だった。