第15章 explore
「はぁ…今日も収穫無し…。」
事件の情報を集め始めてからかなり日が経った日のこと。
夕方、私が部屋で紙に手がかりになりそうなものを書き出していると、純可が扉をノックした。
「隊長、お時間ありますか?」
(…ない…と言いたいところだけど…。)
随分前から純可が扉の向こうにいて、ノックするのかしないのか悩んでいたのを霊圧で何となく察していた。
「あります。」
「は、良かったぁ〜…。」
「そんなに時間がないと言われるのだと思っていたのなら、その通りにしてあげますが。」
「い、いやっ、そんな事言ってないですよーっ!その、今日はお祭りが…あるじゃないですか…。」
段々声が小さくなって最後の方はかなり聞きとりずらかったが、お祭りがあるから行かせて欲しいのかなと思った。
「隊長と一緒に行きたいな、って…駄目ですか?」
まさか、私を誘いに来たんだと分かり、呆気に取られた。
純可を見ると、寂しい目をした子犬に見つめられてるような気分になった。
クリクリした大きな瞳が揺れ、ほのかに期待の色が出ている。
「…いいわ。何の祭り?」
「花火大会です!やっぱり夏の始まりは花火ですよね!」
(いや、花火は夏の中盤だった気がする。)
「私死神になって花火を見たかったんです!オススメのビューポイントあるので、ついてきてください!」