第15章 explore
「証明する…。俺の人生は俺が決めて良いんですよね…!」
「…はい。どんな事があっても、あなたの親族はあなたのことを好きでいるはずです。誰よりも強い味方になってくれます。」
楓我の真っ直ぐ希望に溢れた眼差しに、私は目を細めた。
胸の奥で複雑な糸が絡み合ってぐちゃぐちゃになった気分だった。
人に対して偉そうに助言して、自分は一体何がしたくて何を迷っているのか。
(事件の事を解決したいけど、本当に私にできるの…?)
きっと事件を深追いすれば自分が傷つく。
もし私が捜査途中で死んでしまえば元も子もない。
大きく動くべきか、小さく動くべきなのか。
色々と頭の中が混乱し、机に肘をついて頭を支えてため息をつく。
私の様子に椅子から立ち上がり、心配そうに楓我がこちらに駆け寄ってきた。
「隊長、大丈夫ですか?疲れてるのなら慶に頼んで…」
「…いえ、心配要りません。」
「…なら、良かったです…あ、あの、最後に一つ聞いてもいいですか?」
額から手を離して楓我を見上げると、落ち着いたトーンで予想の斜め上を行く質問をされた。
「隊長って、好きな人とかいないんですか?」
「は…?いないわ。どうしてそんな事を聞くの。」
「だって…俺…いや、何でもないです!今のは忘れてください!じゃ、相談に乗ってくれてありがとうございました!」
「あ、楓我…。」
質問をぶつけるだけぶつけておいて、最終的に放棄して逃走されてしまい、私は少しの間だけ久しぶりに放つ言葉を失ってしまっていた。