第4章 past
母に手を取られ、両手の刺青がよく見れるように顔の辺りまで持ってこられる。
「いい?この刺青は誰にも見せちゃダメ。」
「なんで?」
「夔竜家の王族だとバレたら向こうの人が焦っちゃって、家に帰されるからね。
だから特別な結界を作って隠すの。」
そう言って母が手を離し、私の手の甲を撫でるように翳すと刺青が消えていた。
「すごーい!どうやったの!?」
「さぁ?」
「えーーーーーーー。」
「ふふ、簡単だからすぐに習得するわよ。
さ、次は死神についての説明ね。
まず雲雀は真央霊術院に行って、浅打と言う斬魄刀の元になる刀をもらうの。
そして死神になるための訓練をして、卒業すれば入隊する。
一番隊から十三番隊まであって、それぞれ自分に合った所に入れるの。
もし合わなかったりしたら別の隊に移動できるから心配しなくていいわよ。」
「どうして最初から斬魄刀をくれないの?」
「…行ったら分かる。」
「…どうやって行くの?」
「そりゃあ…あれよ、旅をしてたらいつの間にか着いてました。みたいな。」
「・・・・・・。」
「ブッはははははは。お前らコントでもしてんのか?」
「お父さんも教えてよ。どうやって行くのか。」
横で私たちのやり取りを見ていた父が突然吹き出した事に少々引きながら私は尋ねた。
母がこうなってしまっては父に頼るしかない。
だけど、こんな母をパートナーに決めた男の人だけあって…
「そりゃ、あれだろ、呼ばれた気がして探してたら着いてました。みたいな。」
「あ、あんたらコントでもしてるの!?」
あまりにも幼稚な二人に私は幼さを見失って突っ込んでいた。
(この人たち教える気ゼロでしょっ!…)