第4章 past
王族の血を継ぐ者は決められた恋愛以外許されない。
固定観念で縛られた世界を父は嫌っていた。
流魂街出身の母に一目惚れし、
家に連れ帰って周りを必死に説得した。
そして手に入れた幸せがあるからこそ、父は言う。
尸魂界の全て、瀞霊廷、現世。
あらゆるモノを見て、触れて、経験する事。
本当に賢い大人になりたいのなら、好奇心を絶やしてはいけない。
毎日のように話されていた言葉が脳裏をよぎった。
「そうなの。私の昔話を聞かせてたら興味持っちゃったみたい。」
「ありゃ。俺のせいか。」
「うん。お父さんのせいだよ。いつも同じ事言ってるもん。」
「ついに雲雀も冒険する時が来たんだな。」
「ええ。これから準備しないといけないわね。」
「冒険するの?」
「そうだ。長い長い冒険になるぞ~!」
「うふふ。雲雀よりはしゃいじゃってるわよ。」
私は二人がどんな思いで私を送り出す決意をしたのかなんて考えず、ただこれから起きる事に胸を躍らせていた。
(瀞霊廷ってどんな所なのかなぁ…楽しいのかなぁ…)
「じゃあ雲雀、お母さんの言う事をよく聞いてね。」