第15章 explore
恐る恐る小さな歩幅で部屋に入る楓我に、手で椅子に座るよう促す。またノロノロした動きで微妙に数回頭を下げ、ゆっくり接客用の椅子に腰掛けた。
「…言いたい事があって来たのでしょう。私の事は気にせずどうぞ喋ってください。」
「…あ、あの…俺も何度も駄目だと言ったんですけど、両親が一度だけでも零番隊に来て見てみたいって言って、聞いてくれなくて…。」
(…そう言えば楓我は下級貴族の当主だったわね。自分の息子がどうしてるのか気になるのは仕方ない…よね。)
きっと子供が成長した姿を見たいのだろう。…私の両親は、私が旅立ってから一度も顔を合わせることなく死んでしまったから、もしかしたら楓我の親と同じ気持ちで逝ったのかもしれない。
そう思うと胸が痛かった。
「構いません。零番隊での様子を見せてあげてください。」
私が賛成の言葉を述べると、喜ぶかと思いきや楓我の顔はみるみる暗く、苦虫を噛み潰したような表情に変わる。
「…隊長…俺、こんなこと言ったら本当は駄目だと思うんですけど…俺、親のこと嫌いなんです。」
「それは、自分の事を理解してくれないから…って感じね。」