第15章 explore
霊子は人工的に作ることは可能だが、肉体は通常の機能をしない。
本にはそう書かれていた。
早い話、人の手で完全な霊子を作り出すのは不可能だということ。
ふと、記憶の端に追いやったあの事件を思い起こす。
(青色だった…動きも戦闘時以外は力が抜けていたし…。)
もしかしたら、40年前の事件で見た怪物はこれだったのか…。
そうとしたらこの本の作者は…?と思い、表紙を見るが作者の名前は書かれていなかった。作者不詳のこの本が誰によって書かれたのかが分かれば、きっと決定的な事実にたどり着けるに違いない。
私はパタンと本を閉じ、ゆっくり深呼吸しながら考えてみる。
しかしどうしても、浮かんでくるのは仲間が殺された瞬間ばかりで、それ以外の状況とかは全く記憶にない。
情けなさと焦燥感に拳を強く握りしめる。
(誰か一人でも、生きていてくれたら…。零番隊の犠牲を無駄にしなくていいのに…。)
何となく声に出さずに呟いた訳だが、裏には既に諦めの色が滲んでいる言葉だった。
コンコン…静かな部屋ではノックの音がやけに大きく聴こえた。
「あの、隊長、少しいいですか?」
楓我の少し遠慮する声に、何か、伝えることに躊躇いが生じる話題を持ってきたんだろうと思う。
「どうぞ遠慮しないで入ってください。」