• テキストサイズ

奈落の底から【BLEACH】

第15章 explore


霊子は人工的に作ることは可能だが、肉体は通常の機能をしない。
本にはそう書かれていた。

早い話、人の手で完全な霊子を作り出すのは不可能だということ。
ふと、記憶の端に追いやったあの事件を思い起こす。

(青色だった…動きも戦闘時以外は力が抜けていたし…。)

もしかしたら、40年前の事件で見た怪物はこれだったのか…。
そうとしたらこの本の作者は…?と思い、表紙を見るが作者の名前は書かれていなかった。作者不詳のこの本が誰によって書かれたのかが分かれば、きっと決定的な事実にたどり着けるに違いない。

私はパタンと本を閉じ、ゆっくり深呼吸しながら考えてみる。
しかしどうしても、浮かんでくるのは仲間が殺された瞬間ばかりで、それ以外の状況とかは全く記憶にない。
情けなさと焦燥感に拳を強く握りしめる。

(誰か一人でも、生きていてくれたら…。零番隊の犠牲を無駄にしなくていいのに…。)

何となく声に出さずに呟いた訳だが、裏には既に諦めの色が滲んでいる言葉だった。

コンコン…静かな部屋ではノックの音がやけに大きく聴こえた。

「あの、隊長、少しいいですか?」

楓我の少し遠慮する声に、何か、伝えることに躊躇いが生じる話題を持ってきたんだろうと思う。

「どうぞ遠慮しないで入ってください。」
/ 291ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp