第14章 sign
数日後、私は瀞霊廷で最も大きな図書館に来た。
様々なジャンルの本がそこにはあり、情報の量も質も他とは桁違いだ。私は本棚の間の道をゆっくり歩きながら、早速目線を張り巡らせてあの事件に関係ありそうな本を探し始めた。
(…やっぱり無さそうね。)
どれも難しい論文のような本ばかりで、なかなか求めているものがある気配がない。
しかし諦めずにもう一度引き返して上から見ていくと、棚の二段目に「霊子を人工的に宿らせる」という題の本を見つけ、手を伸ばす。
が、あと10cm手が届かないため足踏み台を持ってこようと足を一歩後ろに引いた時、あの独特な訛りのある話し声が耳元で響いた。同時に頭の横からその人の手が伸びて、目的の本を棚から出してくれた。
「雲雀ちゃんこんな本が趣味なんや〜。そういや技術開発局で涅隊長の助手やってたんやもんね。」
「…いつから居たんですか市丸隊長。」
ほれ、と差し出された本を受け取り、後ろを振り向くとやはり笑顔の市丸が細くした目で私を見下ろしていた。
(全く霊圧を感じなかった。どうして…。)
私が市丸の霊圧を感じ取れなかったのだと気付いた市丸は、これまでにないほど面白おかしそうに眉を下げて笑った。
「あれ?あ、そっか、そりゃ雲雀ちゃん知らんよね。」
「何がですか。」