第14章 sign
「何やったんや…?」
呆然として斬魄刀を持ったまま固まる大破に、「帰る。」と目配せして尸魂界の入口を開けた。
「あっ、待ってください〜!」
地獄蝶に導かれ、尸魂界への暗い穴を歩いている途中大破がさっきの話を再び掘り起こす。
「隊長、あいつ何が言いたかったんかわかります?」
「…私は少しだけど掴めた気がする。」
「え?どいうことですか?」
「私の事件と何かしら繋がりがある。」
「…はあ…。」
(わからないのも無理ないわね…。知らないんだし。)
あの人。命令。私が有名人。可哀想な人。
どのフレーズを取っても地味な違和感が残る。
二人とも黙り込んだまま尸魂界に到着し、穿界門の前に降り立つと零番隊の皆がどこからともなく駆け寄ってきた。
「隊長ー!大破ー!おかえりー!」
「お怪我はございませんか?」
「大破!無事でよかったぜ!」
「お、お前ら…俺がそんなにヘタレや思っとったんか。」
「んなことねぇよな!」
「絶対思ってたわ…。」
四人の楽しそうなやり取りを静かに見守る。
(まだハッキリしないことが多いけど…そろそろ調べ始めてもいい頃か…。)
事件について情報を集めるにはいいタイミングであるには間違いなさそうだが、この四人に悟られないかが心配だった。
現にさっきも大破に怪しまれてしまっていたし。
(何としても…一人でやらなきゃ…。)