第14章 sign
大破も虚の霊圧を感じて、焦った顔で私の方を見る。
「た、隊長…!」
「大破、今すぐ総隊長に最上級大虚が現れたと伝えて。支援はいらないから零番隊の三人に瀞霊廷を見張るようにも言っておいて。」
「最上級大虚!?な、あ、はい!」
虚の出現ポイントに向かいながら、私の後ろで伝令神機を耳に当てて話をする大破の腕を掴む。
「はい、お願いします。…隊長どうかしたんですか?」
伝令神機を懐に直して私の目をじっと見つめる。
無意識に私は大破の腕を掴む手に力を込めていた。
「…いい?絶対に無茶はだめよ。」
「わかり、ました…。」
真剣な私の様子に圧された感じだが、一応従ってくれるようだ。
それだけ確認できれば私は安心できる。
(必ず誰も死なせない…。)
大破から手を離して艶斬の柄をギュッと握る。
瞬歩で虚の霊圧を追い、最上級大虚の姿が見えた所で止まった。
「ん…?ようやく死神のお出ましね。随分遅かったじゃない?」
女の姿をした最上級大虚だった。
どうやら一人だけで現世に現れたらしい。
長い艶やかな黒髪をサラサラ揺らしながら私達に近づいて来る。
「なんやお前?えらい度胸あるな。」
「はぁ?あんた達と戦うのに度胸が無かったら話になんないでしょうが!」
「うっわその喧嘩腰死ぬほど可愛くないわ。」
「うっさい!あんたこそ顔面偏差値50切ってるわよ!」
「これでもモテんねんぞ!」