第14章 sign
零番隊隊員達の雲雀への見方が変わり始めて数日。
私と大破は現世の任務に向かった。
どうやら虚が現れては消え、現れては消え…という不穏な動きがここ最近増えているとのこと。そこで元二番隊隠密機動の大破とタッグを組み、現世での様子を調査しろと命令が下った。
(…そんな異変はなさそうだが…。)
「隊長、なんか変やと思いませんか?」
高層ビルのてっぺんに立って街並みを見下ろしながら、大破が何かに気付いたようにハッと声を上げた。
「…どこが変だと思うの。」
「この一帯、特に高い霊圧を持った人がいる訳でも無いですし、さっきから幽霊観察してたんですが、虚が出るっていうのに怖がってないんです。」
「大破もそう思うのね。情報の発信源がどこからなのか調べてもらいましょう。」
(また四十六室だろうけど。)
伝令神機で四十六室に要件を伝え、私達はその辺を散策しながらおかしな点が無いか目を凝らす。
「本当に何もないですね。」
現世の都会を歩き回るも、やはり異変は見つからず。
大破と私はとうとう歩き疲れて建物の陰で休憩をとっていた。
「隊長大丈夫ですか?」
「心配いらないわ。それより、四十六室からの返事はまだ?」
「はい。一時間も経ってんのに遅すぎますよね。」
このまま帰ろうか…と任務に嫌気がさした時、背中に戦慄が走った。虚の霊圧を感じ取ったのだが、並の虚よりはるかに強いものだった。