第14章 sign
「それであたし達、隊長に零番隊辞めさせられるんじないのかなって…。」
四人は不安に駆られて暗い雰囲気を纏い始める。
総隊長はようやく話を理解した。
「誰もお主らを咎めようなどと思っておらん。瀬越雲雀は被害を報告しに来ただけじゃ。」
「へ?へ?辞めなくていいってことですか…?」
裏返った声で純可が聞き直す。
「そうじゃ。」
数秒間顔を見合わせ沈黙した後、全員が安堵の表情を見せた。
「俺もうあかんと思った〜!」
「あたしも零番隊に入ったばっかりだから抜けたくなかった!
良かったぁ…!」
「純可さんそんな泣かなくても…。」
「女って涙脆いのな。」
「しょうがないでしょ!楓我には一生わからないよ!」
総隊長はそんな四人を見て昔の様子を重ねていた。
一人一人が明るく、合わないようで実は馬が合っている。
騒ぐ零番隊の中心には雲雀がいて…でもその雲雀は自分達のせいで変わってしまった。
四人が頭を下げて一番隊を出ていくのを眺めながら、老いた悲しみにひっそり耐えていた。
「ねぇ、悪い噂ばっかり流れてるけど、やっぱり隊長は良い人なんだよね?」
「そうやな。俺らも最初は噂通りの人なんちゃうんかなって疑ってたけど、そうでもなさそうやし。」