第14章 sign
(何の音…まさか…。)
「雲雀、どこへ行くんだネ?おい!」
「雲雀様お気を付けて。」
「呑気に見送ってるんじゃないヨ!あっ雲雀…!」
涅の毒作りに呼ばれてしばらく共同作業をしていた最中だった。
虚の討伐に向かった零番隊の仲間が気がかりで…また私は何もしないまま誰かの死を見届けることになるんじゃないかと、ずっと神経が殺気立っていた時に、大きな爆発音が聴こえて私は研究所を飛び出した。
「何で…?」
全力疾走の末にたどり着いた流魂街で、私は我が目を疑った。
鬱蒼と生い茂る緑のある一点だけが何も無い。
焼けた跡のような黒い灰が直径百メートルに渡って広がっているだけだった。
心臓が有り得ないほど速く鼓動を打つ。
零番隊の姿が見えない。
頭が痛くて記憶が脳裏に蘇ってくる。
「慶!純可!楓我!大破!」
血管が切れそうなくらい声を張り上げて隊員を空から探す。
すると川辺から私を呼ぶ声が聴こえた。
「隊長ー!ここでーす!」
すぐさま川辺に降り立ち、四人とも元気に私の姿を見て手を振るのを確認した。
「…はぁ…。」
皆ちゃんと生きていた。それが分かった瞬間口から盛大な溜息が漏れた。