第14章 sign
もう一体の中級大虚の体当たりが炸裂し、純可の体が地面へと急降下して木を何本もなぎ倒した。
そして、三十メートル程体を地面に擦り続けたせいで、零番隊の羽織が汚れてしまった。
「いったあーいっ!もお!羽織洗うの大変なのに!」
空から一直線に純可へ突進する虚の下を潜り、斬魄刀を頭の上に構えて虚の腹部に深い傷を負わせるも、致命的なダメージにはならず。
もう一度斬りにかかろうと斬魄刀を握り直した時、楓我の声が頭の中から響いて聴こえた。
(皆!中心に虚を集めろ!全員の鬼道で一気に片すぞ!)
中級大虚との苦戦を強いられていたのは純可だけではなかった。皆二体のうち一体は倒したが、もう片方がなぜか異常に強い。
一対一の戦いでは始解か卍解でもしなければ勝てそうにない。
だが、総隊長から斬魄刀の解放は雲雀に許可をもらってから、と忠告を受けていて今は存分に戦えないのだ。
「あんた達なんか鬼道だけで十分よ!」
刀を鞘に戻した純可は虚の背中に回り、太い足をガシッと両手で掴んで散らばった仲間の中間地点に巨大な中級大虚を投げ飛ばした。
他の虚も一秒もしない内にその地点へ集められ、それぞれが鬼道を詠唱した。
「破道の十二 伏火」
「破道の三十二 黄火閃」
「破道の五十四 廃炎」
「破道の四 白雷」
慶、純可、楓我、大破達の鬼道が集結し、爆発的な威力を生んだ。凄まじい轟音は瀞霊廷まで届き、それは雲雀の耳にもはっきりと聴こえた。