第14章 sign
「今度は俺達がやる番だ…!」
何年前の出来事になるのか。瀞霊廷へ大量の虚が襲撃しに来た時に戦っていた死神のように、自分達も戦わなくては。密かに湧き上がる闘志。
それらの滾る胸が熱くなる。
「全部で八体!あたしは奥の二体を殺るわ!」
「なんやったら俺は手前のにするわ!」
「僕は右に行きます。」
「俺は左だな!」
それぞれ役割を分担して遂に虚との戦いが始まった。
殆どが中級大虚でさほど手こずることはないだろうと誰もが思っていた。全員始解もしていない状態の斬魄刀で虚に斬りかかった。
「なっ!速い!」
後ろを向いている虚への純可の奇襲は、刀の切っ先が触れそうな瞬間ギリギリに躱され、刀を振り下ろし終わる前に後ろを取られてしまった。
「中級大虚のクセに生意気なのがムカつくのよぉ!」
すぐさま純可も瞬歩で虚の目の前に飛び、空いていた手に渾身の力を込めて虚の仮面をどついた。メキッバキッという鈍い音と共に硬い仮面の小さな破片が飛び散る。口元の所に地味にヒビも入った。
「グオオオオオォォォオオオッ!!!」
「最初っから斬られとけば良かったのよ!」
悲痛な咆哮を上げる虚を純可がいたわる訳もなく。
本性を露にした純可に首を切断され、一体の虚は霊子となって消えた。
しかしもう一体の方が厄介だった。
「きゃっーー!」