第13章 smile
「治癒の依頼でしょうか。」
私はなるべく他の霊圧に気付いていないフリをして、浮竹に歩み寄りながら尋ねた。
「流石鋭いね。最近少し体が重いんだ。」
「持病のせいですか。歳のせいですか。」
「歳のせい、じゃないと思う…。」
身を屈めて浮竹の背中に手を当て、ぼんやりとした光を発しながら治療を始めた。窓の隙間を見やると鋭い目と視線が合わさる。
しかも目線を壁伝いに滑らせると、五人もの死神が私の行動を隙間から覗いてることがわかった。
それも気にしないフリをして話しかける。
「浮竹隊長、どうして私を嫌わないのですか。」
「どうしてって…そりゃ、雲雀ちゃんだからだよ。
それに雲雀ちゃんだってこうして来てくれてるじゃないか。」
「メンタルだけは一人前ですね。」
その時一人の死神が大きな音を立てて勢いよく扉から部屋の中に飛び込み、斬魄刀に手をかけながら鬼のような形相で怒鳴った。
「てめぇ浮竹隊長に何て口聞きやがるっ!」
「…隊長同士の話に割り込むなんて、そちらこそ覚悟があって?」
「お、お前が零番隊の隊長でも関係無ぇ!人殺しの言うことなんか信用できるか!」
「威勢のいい割に話が食い違ってます。」
睨みつけるとビクビクと冷や汗を流して震え出す。
「済まない。下がってくれるか。他の皆もだ。」
今まで黙っていた浮竹が周囲を見渡し、飛び込んできた死神と建物を取り囲むように潜んでいた死神達に向かって言った。
すると不服そうに顔を歪めてズケズケと去っていき、雨乾堂の周りの霊圧も消えた。