第13章 smile
「雲雀…。許せ。」
朽木は両手を私の首に巻き付け、後頭部を手で押さえて私の唇を奪った。噛み付くような口付けが何度も角度を変えながら深くなってゆく。私は何が何だか…朽木の考えていることがわからず、ただ目だけを大きく見開いて至近距離にある朽木の顔を眺めた。
(何でいきなりキスなんか…やっぱり理解し難い人だな。)
息が苦しくなってからようやく解放され、朽木の前で濡れた唇を拭うと、気まずそうに私の目を見て言った。
「…済まぬ…自分でも分からなくなってしまった…。」
(私はもっと分かりませんが。)
自身の戸惑いを隠すように目を逸らされ、私に背を向けた朽木は扉の前まで行き、「もう帰ってくれて良い。」と言い残して部屋を出ていった。
「…次から呼ばれる事はなさそうね。」
こんな事があってまた呼び出すような神経を持つ人ではないから、
きっと六番隊で仕事をするのは今日で終わりだろう。
ともかく仕事が減ってくれたのは幸運だった。
この後もまだ零番隊の任務はある。
私は六番隊を出て十三番隊、雨乾堂にやってきた。
「浮竹隊長、入ります。」
「ああ。いらっしゃい。」
入ってすぐ反対側の壁の後ろに数人の死神が潜んでいるとわかった。おそらく見張りか浮竹の護身役か。浮竹は沢山の死神から慕われている分、私のように怪しい奴は放っておけないのだろう。