第13章 smile
この場から去ろうとしている私を他所に、傍観者達は質問を投げかけてくる。
「お前らさっきこの人の名前言ってなかったか?」
「あいつは瀬越雲雀だ。知らねぇのか?」
「どっかで聞いたことあるけど…。」
「俺も詳しくはわからんな。」
「40年前の事件覚えてないのか?」
「んな事言われても…なぁ?」
「事件なんかいっぱいあるし。」
私は周りの人々が事件についてあまり知らないという事実に驚いた。警備だった死神は覚えているのだろうが、それ以外の者は忘れているのか最近入ったばかりなのか、とにかく頭を悩ませている。
私の意識が蚊帳の外にあった間に死神達の会話はヒートアップし、私に関する悪い噂を皆に植え付けている最中だった。
ただ私にはそんなことを気にしている暇もなく。
本人そっちのけで夢中になる死神達を置いて、瞬歩で零番隊に戻る。
帰ってきた部屋にはやり残した書類が机に積まれていて、私は溜息をついて椅子に座って作業を始めた。
しばらくして、隊舎の周りに知らない霊圧が4つ集まった。
(まさか…もう決まったの?)
人数から考えて、恐らく零番隊の新メンバー…だろうか。
4つの霊圧がどんどんこちらに近づいてくる。