第12章 star
一番隊の廊下を歩く。皆、事情を知っているのだろう。
すれ違う人は何か言いたげな目で私を見つめて押し黙る。
「あ…せ、っ…。」
二人組で歩いてきた左の女性の隊士が、私に話しかけようとして右の女性に肘でつつかれ、申し訳なさそうに目を伏せる。
二人とも、私が一番隊に所属していた時に仲良くしていた人達だ。
こんな事をさせて申し訳ないのは私の方なのに。
…もう何も感じなかった。
「総隊長。この扉は開けても構わないのですよね?」
奥から人の気配がする。言葉を詰まらせ、どうしたものかと困惑する人の気配が。それでも私は構わず扉を押して開けた。
「…警備の者達はどうした。」
離れた所の椅子に座って私を見つめる総隊長の、杖を持つ手に無駄な力が入っている。平静を装っているのだろうがバレバレだ。
「殺しました…と言ったら、信じますか。」
「…あやつらの霊圧は消えておらん。よって殺してはいない。なぜそんな事を聞く?」
「それは総隊長が今心の中で思っている通りです。わざわざ私の口から言うまでもありません。」
総隊長だって解っているはずだ。私がありもしない罪で刑を受けなければならない事を。まだ…さっきの隊士のようならまだ許せる。
しかし、私を陥れた奴らは自分の誇りを守るがために目を瞑り、すっ飛んだ自己肯定をして…私を見捨てた。
「総隊長が四十六室から聞かされた情報を教えて下さい。」
「それは口止めされている。儂から話せる事は無い。」
「そんな情報いりません。私が先ほど聞いた通りに忠実に答えてください。」
「…できん。」