第12章 star
「皆さん少し待ってください…!」
「なんだ?ここはお前が話すべき所ではないぞ。」
「いえ、その…色々と変じゃないですか?」
私は突然異を唱えた青年を見た。
彼は四十人の賢者の一人として私の後ろでこの法廷を見守っていたが、気になる事があったのか今は資料を持って裁判官の前に立っている。
「護廷十三隊の隊長に聞いた所、そのような情報は無かったはずです。」
青年の言葉に一瞬だけ押し黙る裁判官達。
しかしすぐにさっきまでと同じ調子に戻った。
「我々は瀞霊廷のあらゆる情報を知っている。資料に載っているのが全てでない。」
「…しかし、夔竜家が零番隊に任務を要請した記録なんてありませんし、動機がまだわかっていないはずです…!」
「…覚えておけ。法廷では証拠が絶対的に正しい。
実際死体からは瀬越雲雀の霊圧が確認された。
それ以上は本人の否認があろうと変わることは無い。」
裁判官の言うことも最早矛盾して支離滅裂だ。
(…何か隠してる…そこまでして私を罪人にしたいんだ…。)
裁判官の圧力に遂に無言になってしまった青年は、歯をキリキリと噛み締めて元の位置へ戻ってしまった。
「では…元零番隊隊長、瀬越雲雀を地下監獄最下層第八監獄、無間にて1万年の投獄刑に処す。異論は無いな。」
(…!地下監獄最下層!?そんな…!)
最も重い罪を犯した死神に言い渡される刑を、とうとう私が言われる側になってしまった。自身の隊の隊士を殺害したならばまだマシだったのかも知れないが、私は王族を殺した犯人になっている。
この位の咎めは受けなければならないらしい。