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奈落の底から【BLEACH】

第11章 crown


胸が痛い。頭が熱い。
ショックで何も言えずに固まる私に、
日番谷が重い声で、しかし期待を込めた声で言う。

「四十六室に証拠を提示してもらった。
だが、まだお前が違うというのなら…。」

私はもう解った。
…私を完全に信頼している人はどこにも居ないということ。
心の奥深く、今まで意識したことがなかった醜い感情…
それらが火砕流のように私の心を侵食してゆく。

「兄の証言が必要なのだ。」

いつもより一段と低い声で、朽木が私に諭すように語りかけた。

「あ…信じて下さい!私は…!」

「皆さん落ち着いて下さい。雲雀さん、まだ貴方を助ける手立てはあります。」

助ける…?そもそも私じゃないのに…。

「そうだよ雲雀ちゃん。君から僕らに真実を話してくれれば良いんだ。」

お前らに話したって、四十六室の権力に押し潰されるだけだろ…。

「少しはボクらを信用してもええんとちゃうん?」

真っ黒に染まった心がもう耐えられないと絶叫を上げていた。

信用してないのはどっちだよ…?

市丸の次に口を開いた東仙の言葉で、私はついに感情に支配された。

「お前は正義を語れる死神だったはずだ…!」

(……………………………………………。)

「さっきから何なんですか?」

低く唸るような私の声に周りに緊張が走った。

もう言い出したら止まれない。
全部吐き出さないと収まらない。
このドロドロしたどす黒い渦を消しさってやる。

「そんなに証拠が正しいと思って信じる程、私の事なんかどうでも良かったんですね。」

私の言葉に浮竹が小さく声を上げる。

「なっ…雲雀ちゃん何を…!」

「それもそうですよね。どうせ何でも他人事なんですもんね。」
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