第11章 crown
更に月日が経ったある日の事だった。
「これはどうなってるの?」
「さぁ…明らか正常じゃないよな?」
私と灯路は霊力調節装置のモニターの前で棒立ちしていた。
王族が住んでいる場所にとても高い霊力反応があるため、グラフが異常な右肩上がりになっている。
(大丈夫かな…?でも何があったかわからないから確かめに行かなきゃ。)
「灯路、皆を集めて何があったか見に行こう。」
「そうやな。でも、隊長まだ仕事残ってたんちゃうん?
俺らだけで行っとこうか?」
「私も行く。…どうしても、気になるから…。」
嫌な予感がする。
心臓が変な音を立て始めて、ただ事ではないと直感的に思った。
…私の家族が危ない。
「…わかった。皆で行こう。」
私の緊迫した雰囲気に何かを悟って灯路が重々しく言った。
零番隊の皆にさっきの事を伝え、協力を求めると全員快く頷いてくれた。まずは霊王宮へ飛び、霊圧が高くなっている場所を探ろうとした。しかし、到着する前からそれは必要の無い作業だとわかった。
(私の…家の所から…!?)
信じられない、信じたくない気持ちで足がすくんでしまう。
懐かしい家の前に立つと尚更だった。
「この家から霊圧が出てますね。」
「なんか不気味な霊圧やな…あたしこういうのあかんねん…。」
「どうする?全員バラバラで行くか?」
「王族の家はでかいからな。個人で探す場所決めてやった方がええと思うわ。雲雀、それでオッケーやな?」
「…う、うん。」
様子がおかしくなった私を四人は心配そうな目で見るが、事態は一刻を争うと皆頭で理解している。
それぞれが別々の所から侵入した後に、ようやく決心がついた私はなるべく平静を装って、思わぬ形で帰郷となった家に足を踏み入れた。