第11章 crown
「では、僕はここで失礼させてもらうよ。」
「ありがとうございました。」
森の前まで送ってもらい、綾瀬川が私に対して背を向けて歩き出したのを見ながら、この後の予定を思い出す。
(零番隊で霊力管理が終わったら十番隊で、その後七番隊で…忙しいなぁ…。)
それでも楽しい日々であることに変わりはなく、色んな隊を回ることで更に沢山の人と仲良くなれるのが好きだった。
隊舎に戻り、すぐ左の棟に移る階段を駆け上がって厳重な鉄製の扉を開ける。
とてつもなく広い部屋の中心に、コックピットにも似た機会とモニターが円形になって置かれている。
モニターに表示された霊力量の線グラフがなるべく平坦になるようにここで操作するのだ。
「うーんとね…今日は低いから上げとかなきゃね。」
そうして装置をいじり、尸魂界の霊力の調節を終えてすぐ十番隊の任務に向かった。
「冬獅郎、今日は乱菊さんと現世だよね?」
「ああ。俺は用があって行けねぇから、頼む。」
「了解。あ、そうだ。冬獅郎に渡そうと思ってこれ持ってきたんだけど。」
私は懐から手拭いを取り出して日番谷の前に差し出した。
「この雪の刺繍が冬獅郎に似てると思ってさ。」
「ありがとう…にしても季節外れだな。」
「ずっと渡そうと思ってたんだけど、忘れちゃってて…あはは。」
「そんな事だろうと思ったぜ。でも、あんがとな。」
「どういたしましてー。じゃ、行ってくるね。」
「気をつけろよな。」
「はーい。」
日番谷と別れた後、松本と合流して私は現世の任務もこなした。
そしてその後も日が暮れるまであっちこっち動き回り、一日を終える。
そんな日常が続くんだと思っていた。