第11章 crown
暫くして斑目も更木と同じく、「ケッ」と言ってドサリと胡座をかいてその場に座り込んだ。
一角の横には真っ二つに折れた木刀が転がっている。
「さっすが姉御だ!」
「姉貴!またすげー戦い見せてくれよな!」
「零番隊の隊長はダテじゃねぇな!」
最終的に十一番隊の観客達で賑わい、姉貴だか姉御だか呼ばれて帰るのももうお約束だった。
そして毎度綾瀬川が私を送るのもお約束であった。
「さぁ雲雀。僕の手を取って帰りましょう。」
「あ、はぁい…。」
君主に忠誠を誓う騎士のような格好で出された綾瀬川の掌に、苦笑しながら自分のを重ねた。
その様子を何も言わずに、明らかに不機嫌そうに眺める更木と斑目を代弁するように、隊士達から一斉にブーイングが巻き起こった。
「弓親ずりぃぞ!」
「お似合いじゃねぇぞ!」
「いい加減嫌われるぜ!」
「フン。くだらない。さ、行きましょうか。」
自分の同僚達からのブーイングを完全に無視して、私に見事なウインクを見せて歩き出した。
後ろの方からまだ聞こえる非難には全く触れない。
「女性をエスコートするのが男の役目というのに。
毎度毎度騒がせて本当に悪いね。」
「いえ…いつも送って頂いてありがとうございます…。」
(変に思われてなきゃ良いんだけどね…。)
「それにしても、うちの隊長は戦える相手と来たらすぐ飛び付くのをどうにかできないのか…雲雀も迷惑だろう?」
「そんなことはないですよ…普通に楽しいですし…。」
(もうちょっと期間を開けて呼んで欲しいけど。)