第11章 crown
「零番隊になって、少しは休める時間を取らせてやれないかと思って…。」
それはハードな零番隊の任務を思っての朽木の優しさだった。
(確かに座って作業するだけだから他のより楽だな。)
「わざわざお気遣いありがとうございます…でも私はこの通り元気なのでご心配なさらなくても大丈夫ですよ。」
「そうか。しかし無理はするな。」
「はい。」
(白哉さん私に対して優しすぎるよ…もっと六番隊の隊士にも分けてあげてください。)
心の中で冗談っぽく笑いながら出口のところに立つ。
めいっぱいの感謝の気持ちを込めて頭を下げて、私は少し早く次の仕事に向かった。
道の途中、歩きながら手首足首のストレッチを簡単にすませながら、ある目的のために神経を集中させていた。
何故なら次の仕事は十一番隊で更木剣八の相手をしなければならないからだ。最初は何で私なんだ…と頭を抱えていたが、なんだかんだやり合うのは今回で二十回目を超える数になる。
「剣八さーん。来ましたよー。」
そうして十一番隊の扉を開けた瞬間に戦闘が始まる。
「今日こそ決着をつけようぜ!」
更木が向こうから物凄いスピードで私に突進してきて剣を振るうのを、ヒョイっと避けて更木の首に肘を叩き込む。
「ってぇな…やっぱりお前は最高だぜ!」
お互い向かい合い、更木が両手に持った木刀の片方を私に投げて渡した事で本当の戦いが始まった。
木刀を両手で構えて更木を見据え、動きを探りながら距離をとる。