第10章 main
「マジか。俺も全然だったから助かったぜ。」
「ふふん。すごいでしょー。」
「わーすごーい。で、どんな感じになるんだ?」
「えーとね、ここじゃ話すのもあれだし、歩きながら言うよ。」
愛を肩から下ろして皆で大通りを離れた。
私は技術開発局での話と、細かいことは阿近に任せたことを伝えた。
「…え?ってことはいつ隊舎できるんか分からんってこと!?」
私の話を聞き終えて愛が驚いたように私を見上げた。
(そういえばいつとかどんなとか全然話してなかった…。)
「…ホントだね。」
「ホントだねって…雲雀さんどうするんですか、隊長たちに言われたこと早速破っちゃいますよ。」
嘉宗が言っているのは、就任式が終わった後にした隊長たちとの雑談のことだ。
どうして一つ屋根の下で暮らさなければならないかを聞くと、
「零番隊はどの隊よりも信頼関係が必要だから。」と返され、
どうして私達が選ばれたのかを聞くと、
「優秀だと判断したから。」と返され、私達はタジタジだった。
何より今は全員が隊舎で生活するという零番隊に出された条件も、もう危うい感じになってしまっている。
(かなりマズイかな…いきなりお前達は零番隊失格とか怒られたら嫌だなぁ…。)
何か策は無いのか…と頭で考えながら零番隊隊舎のある森を歩いて行くと、人の声が複数聴こえてきた。
「なんかえらい騒がしいなぁ…。」