第10章 main
ちょっとした好奇心から私は阿近に聞いてみた。
昔の短めの髪の方が良いか、今の背中の真ん中辺りまである長い髪の方が良いか。
半分冗談で尋ねたのにも関わらず、阿近は顎に手を添えて真剣に考えている。
「そうだな…大人っぽいと子供っぽいだと俺は大人っぽい方が好きだが…雲雀に大人っぽいは無いし…。」
(今なんかバカにされた気がする…。)
「…お前は中間だな。セミロングってやつが良いんじゃないか?」
「セミロング…それ大人っぽいの代表的な髪型ですけど…。」
「そうなのか?俺は似合うと思うけどな。」
阿近は私を少しだけ見つめて立ち上がり、「じゃあな。」と言って扉から出て行った。
ドアがパタンと閉まる音で私は部屋に一人だと一足遅れて気が付いた。
「早く戻って皆に伝えないとっ!」
隊舎を作ってもらえる事になったといち早く皆に言わなければ、後々面倒なことになる。
私は技術開発局を出てすぐに一人一人の霊圧を探して瞬歩で後を追いかけた。
愛、嘉宗、灯路が見つかり、三人とも手がかりなしでやる事が無かった為、一人見つける度に一緒に行動を共にすることになり、今私の後ろに三人がいる状態で残った丞を捜索中だ。
「雲雀瞬歩速すぎしんどい!」
最初に見つけられてから、今まで一番長く私に付いてきていた愛がとうとう疲れたのか弱音を吐く。
「本当?ならスピード落とそうか。」