第10章 main
(阿近さんの霊圧は…あの部屋だ!)
霊圧を探って、阿近が副局長の部屋に居ることを突き止めた私は、涅の時と同じように部屋に飛び込んだ。
「阿近さーん!」
「お、雲雀か。どうした?」
阿近は涅と違って怒鳴りもしなければ驚きもしない。
ゆったりとソファーに座った状態で振り返るだけ。
だから私も騒がしかったのが一瞬で静かになる。
「さっきマユリさんと話をしまして、建てられなかった研究室を私がもらうことになったんです。」
「とか言って自分の隊舎にするんだろ?」
「あ、バレました?」
「当たり前だろ。今まで自分の研究室なんか持ちたくないって言ってたのに、急にくれなんて言い出すんだからよ。ま、座れ。」
阿近が笑いながら向かいのソファーを指差す。
私が指示通り座ると、阿近が話を切り出した。
「隊舎にするんならなるべく研究室のまんまは良くないよな。
床はフローリングにしとくか。」
「できれば一つ一つの部屋を広くして、隊舎っぽくして欲しいんです。」
「んー。よし。後は俺に任せとけ。」
「よろしくお願いします!」
「ああ。」と微笑んだ阿近が何かに気付いたように表情をシュッとさせ、私の顔の横に手を伸ばしてきて髪の毛を手櫛で整えるように撫でてきた。
「お前髪の毛伸びたな。ここにいた時は肩に着くぐらいだったのに。」
「そういえば全然切ってなかったです…どっちの方が似合いますか?」