第10章 main
自分のカンは正しかったと思うのと同時に、できれば逆のパターンの方が良かった…と嘉宗が私にかける言葉もなくただ見事な呆れ顔を私に向ける。
「確かにボロボロ要素を除いたらちゃんとした隊舎やな。」
灯路が隊舎を私の後ろから観察して呟く。
「これ俺達が改装すんのか?」
「その通り!」
「その通りって雲雀、これ結構大変なんちゃうん。」
苦笑いでボロボロ隊舎と私の顔を交互に見て愛が困ったように言った。
「ま、頑張れば何とかなるって。ダイジョーブダイジョーブ。」
「全然安心できねぇのは俺だけか。」
「僕も全く大丈夫な気がしません。」
「もー。私達は選ばれし五人なんだからこれくらいで弱音吐かないの!」
「その台詞もっといい場面で言ってほしかったわ…。」
丞と嘉宗、愛の顔がだんだん疲労感に満ちた表情へと変わっていく。
「ネヴァーギヴアップ。」
私が皆の方を向いてガッツポーズをすると、灯路が吹き出した。
「プッ…そんな発音良く言わんでええしっ。…フゥ、まぁ、やるだけやってみようや。幸いなことに全隊長と副隊長に顔知られてるんやし、協力してもらえるやろ。」
「そうそう。さぁ、元気出して材料集めに行きましょう!」
零番隊になって最初の仕事がこれか…と灯路と私以外の三人はすっかり気を落としてしまい、返事の代わりに深い溜息を吐き出した。