第10章 main
私が発した言葉にさっき現れた女性の死神が首をかしげる。
「あんた何も聞かされてないん?っていうか、あんたやんな?新しい零番隊の隊長。」
私は驚愕の話を振られてその場で硬直した。
頭の中で「零番隊の隊長」という文字がグルグルと回転して混乱する。
「僕の可愛い雲雀ちゃんがどっか行っちゃうんだと思うと伝えられなくてね~。」
「八番隊の隊長さんもちゃんと言われたことしな。」
「ごめんごめん。」
頭を殴られたような衝撃でまだ目の前が真っ白な私を他所に会話が繰り広げられる。
その時、「もしもし。」と誰かが私の肩を叩いた。
「新しい隊長さん、そろそろ総隊長さんが説明したくてウズウズしてますよ。」
「…あ、はい…」
私が再び元の世界に戻ってきたのを確かめ、眼鏡をかけた茶髪の男性が総隊長の方を向く。
「…うむ。大方話は解ったじゃろうが、儂からちゃんと説明しよう。零番隊とは、王属特務の特殊部隊だと思ってよい。
つまり、護廷十三隊が対処できない任務をこなし、王族を守護する役目じゃ。」
(なんか話がでかくなってきた…。しかも王族って私じゃん…。)
ケタ違いのスケールに眩暈がしそうになる。
「お主らには霊王の近くで過ごす…」
「ちょちょちょ!待って待って!」
女性の死神が総隊長の話を途中で切った。
「あたし瀞霊廷で暮らしたいから霊王の所で過ごせとか嫌やで。」
男性の死神三人もコクコクと頷く。
どうやら予想だにしなかった展開なのか総隊長が言葉を詰まらせる。
(私の記憶だと…確か使われていない隊舎があったはず。)
「あの…外れにある隊舎は使っても良いんですか?」