第10章 main
初めて謎の集団を見かけてから数日。
私は頻繁にその姿を目撃するようになった。
その人達は隊舎の近くに居て、死神を見かけるとすぐに手元の資料で何かを調べ、ヒソヒソと何かを喋る。
もっと近くに行って調べてみたいと思うがどうしても雰囲気に押され、遠いのか近いのか分からない微妙な距離でいつも見ている。
しかし更に日が経つとパッタリと姿が見えなくなった。
「居ないなぁ…昨日まであんなにコソコソしてたのに。」
朝私は瀞霊廷を歩きながらキョロキョロとあの人達を探していた。
隊舎周辺もくまなく歩き回るがそれらしき影も見当たらない。
私は最後にと一番隊の前まで来た。
(おじいちゃんの護衛の人達だからここには絶対いるんだよね。
元一番隊だからって入っていいのかな?でもおじいちゃんに何か聞かれた時に、その後ろの人達が〜って言い始めても馬鹿みたいだし…。)
一番隊の大きな隊舎を見上げて重く溜息をつく。
自分が気にしすぎただけじゃないか…私は考えれば考える程どうでもよくなってきて、真相を確かめる勇気も出なくなった。
「帰ろ…。」
踵を返した私の元に、ヒラヒラと地獄蝶が舞い降りる。
私は指を立てて蝶を指先に停めた。
「瀬越雲雀に継ぐ。今すぐ隊首会に出席するように。」
それだけ伝えられるとまたヒラヒラと地獄蝶は飛んでいった。
(私が隊首会に出席…!?何か悪いことしたっけ?)
思い当たる事が無いまま、私はたまたま近くに来ていた一番隊の中に入った。