第10章 main
「どの人達?」
「えーと…。」
(いや、でもこれってあんまり言わない方が良いのかな?)
不思議そうな顔をしている京楽を前にすると、そこまで気にする必要の無いことなのではないかと思い始めた。
言葉に詰まっている私を見て京楽が本気で分からなさそうに首をかしげる。
「…やっぱり大丈夫です。何でもありません。」
「そう。で、雲雀ちゃん何食べたい?」
あの人達とだけ言って結局京楽を困らせるだけになってしまったが、京楽本人は特に気にしてなさそうに別の話題に移る。
「お寿司がいいです!」
「僕も丁度食べたかったんだよねお寿司。
やっぱり僕達気が合うね。」
そう言って笑っている京楽に私は何か違和感を感じた。
まだ八番隊に来て短い期間しか経ってないものの、私は少なからず京楽の行動が分かってきた。
今感じた違和感は、隠し事をしていると悟られないように自然に振舞おうとして不自然になってしまっているもの…。
賢い京楽はそれが他人より判りづらいが、私の目は誤魔化せないのだ。
それが私に関することなのか、さっき見た事についてなのかは判断できないが、他人に言えない事なのだろうと思った。
「行こうか。」
どこか淋しげな雰囲気を漂わせ、私の横を通って行った京楽の後ろに私も付いていく。
(私に関係あるのかな…?また移隊とかだったら嫌だな。)