希望を賭けた戦い The hopefight--.
第10章 慣れと戦法
「……仕返しに私が斬ってやった。当然の報いでしょ」
言うや否や、カンナは再び背を向け、この場を去った。
大まかな事情しか説明してくれなかったので、少女……神也楓架にもう一度聞いてみた。
そうしたら、
『敵に気安く喋りかける奴がいるか?』
の事。
何か気を障るような事をしたのは確かだ。
落ち着いた頃に、またカンナに問い質してみよう、と海月は提案した。
「あいつは……雀羅を殺ろうとしたんだ」
そう言い張ったきり、カンナは何も言わなくなった。
「いや、殺ろうとはしてねぇだろ。この斬り方」
「深く斬られてはないから殺そうとはしてないと思いますね」
雀羅の頭に包帯を巻くカンナのそばに、楓が、千乃が口々にいう。
確かに、斬りどころが悪いわけではない。
海月の肩に、誰かがちょんちょんとつつく。
「一舞?」
気付いてくれた一舞はこくりと頷き、メモ帳に何か書き始めた。
『あの子、神也楓架には近づかないほうがいい。ただならぬ力を持っていそうだ』
ただならぬ……海月はその言葉に少し震え上がった。
「あの女、絶対に許さない……」
「とりあえず、お前はあいつに二度と近づくな。めんどくさいことはごめんだ」
「死んでも近づかんわ」
カンナは楓を睨みつけ、しばらくして態勢を戻し、雀羅の髪を撫でた。