希望を賭けた戦い The hopefight--.
第10章 慣れと戦法
「うわぁあああああああぁぁああああぁぁああ!!!!!!!!」
誰かの叫び声と共に、夕顔団員は跳び起きた。
楓はその中の一人に含まれる。
「え、な、何!?」
寝癖がビョンビョンたつ彼方が毛布を取りつつ、ちょうど同時に起きた鷹比呂を見る。
「……あれ、オレ…」
「雀羅とカンナがいない」
「なんだここの奴かよ……」
楓は眠りを妨げられたことにいらつき、呆れながら嘆息した。
「……怪我の匂い」
「はぁ?怪我の匂いってなんだよ」
「匂いする。行く」
海月は臨機応変に動き始めた。
団員の皆はきょとんとしていたが、副団長である楓が「またかよ…」と次に部屋から出る。
それが合図かのように、団員の皆も動き始めた。
一人を除き。
「……こんなお子様ゲーム、付き合ってられない」
誰もいなくなった部屋で一人で呟いた。
一方の海月たちは……
「………」
「なっ……」
そこには、右腕を赤色の血に染めた、少女の姿が。見たことがないので、きっと夜桜団員の奴だろう、と楓は冷静に判断した。そしてその隣には………雀羅を支えるカンナ。
雀羅も同じく、頭から血を流している。心配そうに見つめるカンナだが、もう一人の怪我人に目を向けようとしない。
「えーと………何があった?」
鷹比呂が宥めるように、オレンジ髪の少女に聞く。
「……あの女に聞けば?」
あごをしゃくって、カンナに目線をやる少女。
少女が血で右腕を濡らしている一方、カンナは傷一つなく、無傷だ。
そこで海月は、カンナの元へとてとてと歩いた。
駆け付けた、仲間であろう人が、少女の右腕を見た。情報整理のためか、その少女は鷹比呂に何か質問している。親しげだ。
楓たちはその間、呆然と立ち尽くす他なかった。
「カンナ」
「あ、団長……」
カンナが海月の存在に気付くと、苦虫をすり潰したような表情になった。
雀羅は気絶して、反応がない模様。
「何があった?」
「………あいつが……雀羅を私の武器を奪って斬ったの。頭をおもいっきり…」
「あの人も怪我してる」
「それは………」
何かやましいことがあるのか、突如口ごもる。
しかし、意を決したかのような表情をすると、遠くにいた少女睨み付けてこう言った。