希望を賭けた戦い The hopefight--.
第9章 違和感
なぜか言葉を濁す千乃。
すると、痒そうに眼帯の上から手でごしごしとかく。
「立場上、苦しいから……ですかね」
「苦しい……?」
「……そろそろ寝ますね、いつの間にこの馬鹿も寝ちゃってますんで」
「あ、ああうん」
そう言って、眼帯の上をごしごししながら、彼方を引きずり、安全な場所へと移動させ、毛布を被せた。
彼女がまたこちらへ来る。
「あ、消灯はオレがやるよ」
「そうですか。手数かけます」
千乃は再び彼方の元へ戻り、様子を見てから、自分も眠りについた。
「おやすみ」
優しい声音で、千乃は言った。
さて、ここで困ったのが鷹比呂だ。
当然、今日も一睡どころか目を閉じられない。
「困ったもんだ……」
仕方ない、と鷹比呂は体をおこし、休憩室から出た。
この感じに鷹比呂は違和感を覚えた。いや、違和感というか……似たような感じ?
「修学旅行の時、部屋から抜け出して外のコンビニで買い物した時だな…」
はぁ……と、訳のわからない思い出を思い出してしまった。
あの後、不良に絡まれて大惨事になったのを鮮明に覚えている。記憶力の悪い鷹比呂でも昨日の事のように覚えていた。
「あれはなんか……ある意味楽しかったなあ」
部屋のドアにもたれかかり、腰を下ろす。
「あっ」
「ん?」
声がしたほうを見ると、黄緑色の八巻をした、おさげの同い年くらいの子がいた。