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陰陽の道≒式神との道

第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-


指が足りないくらい、それはたくさん、色々と彼には話している気がしてきた。

(ってことは、私も悪いんだよね)

ナギは確かに人見知りだが、周囲と打ち解ける邪魔をしているのは、もしかしなくても、むしろ自分ではないのか。
行き当ったそれに、○○は机に突っ伏した。

「あー、も~~~っ」

ナギが自分に懐いてくれるのは、掛け値なしに嬉しい。
でも、他の式神とも仲良くして欲しいと思っていたものを、自分が障害になってどうするのか。

(駄目なのは、私の方だ)

では、どうしたら良いのか。
考えついたそれは、ナギと一定の距離を置く…というものだった。

殊更に遠ざけたり、避けたりはしないが、今までのようにナギがあまりにも自分にばかり近づいてきても、そこは一定の距離を保つようにする。

そうすることで、彼の関心もいずれ他へ向いていくかもしれない。

そうして移した行動はしかし、ナギには唐突に感じられたらしい(○○の考えを知らないのだから当然かもしれないが)。

結果、○○から離れたナギは一人ぽつん、として、その様子は、まるで孤立してしまったかのようだった。

そんなナギの、切なそうな、淋しそうな視線を痛いほど感じてしまうと、○○はつい声を掛けたくなってしまうが、それでは意味がない。

○○は心を鬼にして、必要以上に彼に近づきすぎないよう努めた。

もちろん露骨に避けるわけではなく、あくまで他の式神達と同様に接する。
これが一番重要だ。

今までの、陰陽師である自分に偏り過ぎていた彼の時間や意識を、他へ向けるようにしなければならない。

そもそもこんなこと、本来ならお節介だろうとも思ったが、仲間の式神にほとんど興味を示さないというのはやはり問題だし、この先を思えば、良い傾向とは思えない。

だから○○は、自分さえ離れれば、ナギもいずれは他の式神達に馴染んでいくと…そうなって欲しいと考えた。

彼は確かに人見知りが激しいが、式神も多くなってきた今なら、ナギが馴染むことのできる相手も見つかるかもしれない。

そんな期待を込めて距離を置く○○の視線の先では、当初は半ば孤立状態に陥っていたナギが、世話好きの式神に話しかけられ、やがて、複数の式神達と共にいる姿が見られるようになっていった。
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