• テキストサイズ

陰陽の道≒式神との道

第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-


ただし、

「ナギ、ちょっと良い?」

『ナギ』という響きが○○の唇から零れる刹那、彼は耳をぴんっ、と張り、引きちぎれんばかりに尻尾を振って喜びを露わにした。

「何?陰陽師!俺、陰陽師の為なら何でもするよ!」

式神の主人に当たる陰陽師…つまり○○にのみ、ナギは心を全開にして懐きまくっている。
それはもう、忠実…というより、構って欲しくて仕方がない大型犬がそこにいる錯覚に覚えるほどだ。

その様子に、一部の式(特に鬼とか)には『うぜえ』などと言われても、ナギは何処吹く風。

日々、天魔やら怨霊やらとの戦いに身を晒す○○にとっても、ほんわかとしたナギの存在は癒しであり…そして。

「陰陽師をいじめるな!」

敵に対してはもちろん、時として、仲間であっても、○○を不用意にいじってくる式神がいれば、ナギは容赦なく相手に牙を剥き、○○の盾になるように立ちはだかった。

人見知り…とはいえ、(これも対○○限定だが)基本的に普段はおっとり、ふんわりな空気を醸し出して、ちょっとカタコト的な喋りも可愛い癒し系。
しかし、こと○○が関われば途端に豹変する様に、とある鬼は、

「忠犬ぶりやがって」

と毒づく。

「そういう言い方はないでしょ」

訂正してよ、と眉間を寄せる○○に、しかし当のナギは何でもなさそうに笑っていた。

「俺、大丈夫」

にこ、とナギは笑いながらそう言うが。
あんなことを言われて、良い気分なわけがない。

「ナギ、もっと怒って良いんだよ?」
「うん」
「うん、って……。だから……」

ここは怒るとこじゃないの?と○○はナギに近づき、その目を覗きこむように見上げた。
そこには、片方だけだが、澄んだ綺麗な瞳がある。
この目をきらきら輝かせながら懐いてくれるのだから、○○にすれば可愛くて堪らない。
/ 200ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp