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陰陽の道≒式神との道

第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-


しかし、キナはともかく、ナギの機嫌がやや悪い…ような……。
そう感じた○○は、

「ナギ?」

新しい名前で呼んでみる、と、彼は嬉しそうに笑顔を見せる。

「何?なに?陰陽師」
「や…特には……。けど、ちょっと、気になったというか……。名前、嫌だった?」
「ううん、そんなことないよ。ナギって名前、大好きだよ。陰陽師がくれた名前だからね」

笑顔全開なナギに、ほっとした○○は、しかし直後の小さな呟きには気付けなかった。

「あいつら……うるさい」

○○と二人で話していたのに、いつの間にか勝手に割り込んできた式神達……。
それはナギにとって、邪魔以外の何ものでもない。
本当だったら噛みついてやりたいところだったが、○○が楽しそうにしていたから、無闇に噛みついてはいけないと、いつも○○が言うから、だから何とか堪えたものの……。

「邪魔」

自分と○○との間を邪魔する連中なんて、この一言に尽きる。
憎悪というほどではないが、だけどあんな連中、好きじゃない。

それでも、一応仲間だから一緒に戦う時はちゃんとするし、そうしなければ○○を危険に晒してしまうから、そこはきっちり頑張るけれど…とは、誰も知らない、いや、もしかしたら双子の相方くらいは知っているかもしれない、ナギの本心だった。

とはいえ、それはそれとして、新しい彼らの名前は順調に周囲へ浸透していった。

「キナ~~」
「は~い、キナちゃん!」
「きゅ~~っ」

○○から貰った名で仲間に呼ばれる度に、キナは嬉しそうに応じる。
そんな光景を眺めながら、○○はナギとキナの性情の相違に改めて思いを巡らせ、ふと苦笑した。
その違いは、彼らを式神に迎えてすぐに気づくほど顕著なものだった。

どうやらこの双子、獣型の方が遙かに人懐っこく、言葉こそ『きゅい』とか『きゅ~』とか、人語を操ることはないものの(でも相手の言っていることは理解しているようだし、ナギとはしっかりと意思疎通も成立しているらしい)、そんなものは何のその、誰とでもすぐに打ち解ける。

対して人型は、人語も普通に操れるというのに(ちょっとカタコト的部分があるが)、こちらはどうにも人見知りの傾向が強く、いつまでも周囲と距離があるような…ないような、という有り様だ。
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