第8章 始まりは不本意な-羅刹鬼-
-おまけ的…後刻-
「ん…ぅ……?」
ぱち、と○○は目を開けた。
何だかとてもすっきりした気分だ。
頭も…それから身体も……。
そんなすっきりとした快適な目覚め。
軽くすら感じる身体そのままに、伸びをしようとして。
「あれ?」
動けない自分…というより。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」
辺り一面に響くような、紛うことない絶叫がこれでもかと○○の口を衝き、直後、
「こ…っの、お前は…俺の耳を壊す気か!」
放たれたそれは至近からだったが、○○に言わせるならば。
「そ、そんなこと言ったって、そっちが…こ、こんなとこに……っ!?」
せっかく人が気持ちの良い目覚めでいたというのに、何で目の前に…というか、まるで添い寝するかのように羅刹鬼がいるんだ、と思い、実際それを言葉にしかけた○○だった…が……。
「ぁ……っ!」
つい先刻…といっても、あれからどれほどの時間が経っているのか分からないが(まだ日も落ちていないのでそれほど経ってはなさそうだが)、とにかく、地獄鬼との戦闘後のあれこれを思い出した○○の頬が一瞬で熟れる。
見ていた羅刹鬼にも、それはすぐに知れてしまったらしい(何しろ至近距離だ)。
「ちょっ……!?」
草むらに横臥したまま抱き寄せるようにしてくる腕に○○が抗議するも、当の鬼はちろ、と逆にねめつけてきた。
「よく眠れたようだな」
「は?え?あ…それは、まぁ……」
確かによく…というより、物凄く良く眠れた自覚が○○にもある。
何しろ戦闘直後で、頭も身体も疲れ切っていたのだ。