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陰陽の道≒式神との道

第8章 始まりは不本意な-羅刹鬼-


この先には、○○が求める力ある者がいる。

その名は…地獄鬼……。

羅刹鬼と同じ六大鬼の一角で、そういう意味では知己ではあるが、懇意ではない。
むしろ険悪だ。

まして、己に限らず、鬼を式とするなど一筋縄ではいかない。
かつて己と戦ったことで、それは骨身にしみているだろうに。
それとも、一度鬼に勝利できたからと、甘く見てでもいるのか。

式である己に、未だ複雑なものを抱える一方で、羅刹鬼は○○がこれから挑もうとしている地獄鬼に後れを取るつもりはない。

と、一方の○○もまた、これまでは気配を悟られぬよう最小限の式神(羅刹鬼)のみを召喚し、随行していたものを、迫る戦いを前にして、今の己の能力に適う限りの式神を召喚し、その戦闘力を露わにする…が早いか。

「ちっ!」

舌打ちした羅刹鬼が、式神達の誰より早く反応し、○○を抱えて横に飛んだ。

「羅刹鬼さ…っ」
「死にたくなければ全ての神経を研ぎ澄ませ。奴は既に戦闘に入っているぞ」

まだ顔も合わせていない、暗い穴倉のようなその奥に、地獄鬼はいる。
が、生憎と地獄鬼はわざわざ顔を合わせる気などないらしい。

(当然だな)

かつての己もそうだった、と羅刹鬼は述懐した。
陰陽師だろうと何だろうと、相手にするまでもない。
思考回路としてはそんなところで、まして今対峙しているのは地獄鬼…とくれば。

(短絡思考だしな)

思いながらも羅刹鬼は軽やかに攻撃をかわし、暗がりの奥から攻撃を仕掛けていた元凶に接近する。
戦闘力から言えば、まあ五分というところだ…が。

羅刹鬼は、地獄鬼によって吹き飛ばされ、あるいは消滅(といっても、○○という陰陽師の主を持つ限り、余程能力の低い式でもない限り、この場から撤退するだけで本当に滅するわけではないが)していく他の式と、何より、○○を流し見て小さく嘆息した。
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