第7章 大人な狡猾-ひよこ豆-
ここで行為をやめることは、男にとってはひどく辛かったが、彼にとって、最も優先すべきは少女である。
少女を傷つけぬ為であれば、迷いはなかった。
まだ理性が残っている、今の内に……。
今ならまだ、自分は己を止めることが出来るだろう。
理性ではそう思うのに、少女を欲しがる本能が…もはや解き放たれてしまった男の欲望が、容易に言うことをきかなかった。
と、それまで男の背に回っていた少女の腕に力が篭もり、きゅう、としがみついてくる。
「…○○……?」
瞠目する男の下で、組み敷かれている少女は涙に濡れた面を、無言で綻ばせた。
そこには何の言葉もなかったが、男には、それだけで十分だった。
「○○……」
愛おしむように、慈しむように、男は優しく唇を重ねると、その奥に隠れる舌に自らのそれを絡め、脇腹から膨らみへと撫でるように愛撫した。
すると、不意に、少女の四肢が安心したように弛緩する。
その機を逃さずに、男は少女の奥を穿った。
「はっ、ぁぅ……っ!」
少女の声には苦悶が入り混じり、男は少しでも和らげるように接吻を繰り返し、その肌を愛撫する。
己を包む甘い締め付けに、思わず腰を動かしたくなってしまう己を押し留めた。
少女が落ち着くまで、男は少女の中を貪りたい自らを戒める。
「ゆっくり呼吸をして。そう…良い子だ……」
少女が落ち着くよう、安堵するように髪を撫で、唇を重ねては肌に触れ…膨らみを包み込む。
そうして、少女の衝撃がようやく通り過ぎる頃、男はその耳朶に熱い想いを吐露し、押さえていた自らを解放するように動き出した。
「○○……っ」
「ぁ…っ、ぁぁんっ!」
苦痛とは異なる、甘い声で啼きながら、少女は男の背に縋りつく。
告げられた告白が…こうして一つになれたことが嬉しくて、どうしたら良いか分からないほど胸がいっぱいで。
「ぁ…ぁ、せん…せ……っ」
自分も、彼が好きだと言いたかった。