第5章 蕩ける華-地獄鬼-
「俺はお前が良いんだ」
「っ!?」
「俺のものになれ。絶対、後悔はさせねえ」
「じ、じごく…き……?」
「お前に、俺をやる」
「だからお前も、俺に全部寄越せ」
「じ……、んっ」
地獄鬼のことは、嫌いじゃなかった。
むしろ、何でも言えて、楽しくて……。
「お前に惚れたんだ」
押し倒された耳朶に、熱い息が吹き込まれる。
ぞくぞくして、○○の肌が泡立った。
(私…私……っ)
何かあると、いつも地獄鬼に話していた気がする。
八つ当たりしたこともあった。
それで言い合いになったこともあったが、近頃では、何故か面白そうに受け止めてくれるようになっていた。
それが何だか嬉しくて、くすぐったく思うようになったのは、いつからだろうか。
「ぁ…ぁっ……」
「俺だけ見ろ。俺のことだけ、考えりゃ良い」
「地獄…鬼……っ」
思考も、何もかもが、○○の中で白く弾けた。
「は…ぁっ、ぁぁっ!」
ふと、一瞬我に返った時には、○○の衣は全て剥ぎ取られ、地獄鬼の咲かせた痕が淫らに少女の肌を彩っている。
絶えず重ねられる唇は吐息ごと奪うように○○を求め、絡めとられた舌は地獄鬼のそれによって翻弄されながら、ちゅく、と水音にも似た音を立てては貪られた。
しかし、そんな何もかもを○○が自覚する間など、与えられるはずもなかった。
「ゃっ、そ…な、だ、めぇっ」
くちゅくちゅ、と濡れた音が下肢から響いて、知らない感覚がぞくぞくと全身を駆け巡る。
気持ち良いのか、怖いのか、○○には分からなかった。
「や、おね、が…こわい…よぅ」
子供のように泣いてしまう○○の涙を舐めとった地獄鬼は、濡れた自身の唇に舌を這わせ、
「お前…涙も美味いぜ……」
にぃ、と笑みながらも、縋るものを求めるように腕を伸ばす少女を抱きしめる。