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陰陽の道≒式神との道

第11章 魔法の夜に-紅茶屋のお兄さん-


一人で彷徨うのは確かにちょっと淋しいけれど、これはこれで何だかうきうきする。
日常とは違う。
それだけで、不思議な気持ちになるのはどうしてだろうか。

「ふふっ」

嬉しくて楽しくて、○○の唇から、つい笑みが零れた、と。

「これは…可愛らしいKittyですね」

まさか自分に向けられているとは思わない台詞だったが(なので、つい無視してしまった)、

「こんばんは、可愛い黒猫のお嬢さん?」
「え…あ、こ、こんばんは」

改めて正面に回り込まれて、○○は自分が話しかけられていることに気づいた。
でも。

「きてぃ……?」

知らない言葉に首を傾げて、○○は目の前の人物を見た。

黒い外套に、上下揃いの漆黒の……。

(えっと、確か外套はマントっていうんだっけ。それから、あの服は…燕尾服?だったっけ?)

それから…と、見てみれば、

(あれ……?)

美しい羽飾りをあしらった仮面が、彼の面の半分を覆っていた。
でも、分かる。
その髪と、瞳の色……。
日本語が流暢で気が付かなかったけれど。

(異人…さん……?)

街中でも時折見かける、異国からやって来た人達。
○○はまだ直接接したことはなかったが、それを問うのも今夜は野暮だ。
だって今夜は南瓜祭なのだから。

だから気づいたそれにも、○○は知らない振り。
だけど、一つだけ、やっぱり気になる言葉を、○○は口にした。

「きてぃって、何のこと…ですか?」

すると、彼はくす、と微笑む。
それが…何だかとても様になっていて、それだけで○○は頬が熱くなりそうだった、のに。

「これは失礼を、お嬢さん」

そう言ってふわり、と一礼する姿が優雅で…綺麗で。
○○は絶対に赤くなっている頬を、ぺちぺちと叩いて誤魔化しながら、彼の言葉にこくこくと頷いた。

「Kittyというのは、子猫という意味です。でも…子猫というのは失礼でしたね。とても魅力的な黒猫のお嬢さん?」
「え!?い、いいいい、いえっ!」

何やら今、とてつもなく聞き慣れないことを言われた気がする。
○○はぐるぐるしながら、手も顔も横に振った。
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