第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
お陰で翌朝の○○は、いつも以上に起床に苦労することになったのだが……。
昨夜もナギが残した幾つもの痕を衣の下に隠して、○○は先に部屋を出た(既に一部の式神達には関係を知られているものの、やはり一緒に部屋を出るのは気恥ずかしいのでいつも時間差で部屋を出ることにしている)ナギを探した。
きっと今頃は、ナギも痕を隠す為に服を……。
(着てるはず……)
と思った○○は甘かった、というより、甘すぎた。
「え……?」
○○は、すぐにナギを見つけることができた…が。
「おいおい、何だよ。見せつけやがって」
「ちっとは遠慮しろってんだよ、なぁ?」
なんてからかう式神達の中心で、平然としているナギの出で立ちは。
「な、ななな……っ」
「あ、○○!おはよう」
仲間を押しのけ、笑顔全開で真っ直ぐ○○の元にやって来る。
それは…その格好は……。
「な、何でおんなじなの!?」
「?何が?」
「だ、だって、あ、ああ、あと…が……っ」
「え?ああ。俺、すごく嬉しかった。ちょっとからかわれちゃったけど」
「ちょっと…って……」
ナギの服装はいつも通り。
まったく全然変わらない、上半身ほぼ裸という、そのままで。
昨夜、○○が付けた痕は、そんなナギの胸元に……。
(きぁぁぁぁぁぁ~~~っ!)
痕があれば、恥ずかしいから隠すだろう。
隠す為に、服を着るだろう…なんて、そんな発想は、ナギにはまるで通用しなかった。
ナギの性格を考えればすぐに分かりそうなものだったのに(とはいえ情事の最中の○○にそんな判断力があったとは言い難いが)、と○○が今更気づいたところで、はっきり言って思いきり後の祭りだ。
それどころか……。
「お盛んだねぇ?ちょっと妬けちゃうなあ、今度は俺とも……」
なんて、からかい紛いに言い寄ってくる式神がいたり、いなかったり。
とはいえ、これにはすぐに、
「○○に触るな!!」
いつもの如く、ナギの鉄槌が下った…が。