第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
なのに、なかなか上手くつけられない。
眉間を寄せる○○を見ていたナギは、○○が何をしようとしているのか、何となく分かった気がした。
(けど…どうして急に……)
とは、思うものの。
いつも自分ばかりが○○の肌に痕を残しているから、○○も同じことをしてみたくなったのだろうか。
「もっと強く吸わないと、痕つかないよ?」
「え?」
「無理なら、歯を立てても良いから」
○○がしようとしていることに、ナギは協力することにした。
途端、○○は一瞬、きょとん、としてしまったけれど。
第一、普段の○○なら、こんなこと恥ずかしくてできるはずもない。
しかし…ナギの腕の中で溶かされた○○の思考は、普通ではなくなっているようで……。
促されるまま、○○はナギの言う通り、もう一度彼の肌に唇を寄せた。
途中、ぴく、と何度かナギが震えたが、それは自分が下手なせいなのだろうと思いながら、○○は頑張った。
それでもやっぱり上手く行かなくて、ちょっとだけ、彼の肌に歯を立ててしまったら。
「…ぅっ……」
「ぁ、ごめ……っ」
痛かった?と咄嗟に謝る○○に、ナギは目を細めた。
「ううん。痛くないよ、大丈夫」
薄らと痕のついた胸元……。
けれど、この程度、ナギには痛みなどない。
だから平気だよ、と笑えば、○○はほっとしたようにしながら、自分の付けたそれを見て嬉しそうに笑う。
しかし、それまで○○にされるがまま(耐えていた)ナギは、もはや限界だった(途中、何度か震えてしまったのも、うっかり声が出てしまったのも必死に我慢していたせいだったりする)。
「○○……っ」
「ぇ?ぁっ、ぁぁ…んっ!」
○○の唇を肌に感じながら、ただおとなしくしているなんて、これ以上はナギには無理だった。
この先はいつものように…いや、いつもならありえない行動をした○○にすっかり煽られたナギは、常以上の激しさで○○を求め、淫らな交わりは早暁まで続いた。