第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
きしっ……。
夜陰の寝室…軋むベッドの上で、
「○○…大丈夫?」
辛くない?と優しく気遣いながら、ナギが○○を愛撫する。
○○を蕩かせながら、ナギは○○の肌に幾つもの華を咲かせていった。
「ぁっ……」
ちり、と肌に刺激を感じれば、そこにはナギが咲かせたばかりの華……。
「○○…大好きだ……」
「ぁっ…ナ、ギ……っ」
ナギは○○を抱くたびに、こうして○○の肌に痕を残す。
幾つも…幾つも……。
まるで○○は自分のものだと誇示するように。
でも…○○からそれをしたことは、そういえばない。
艶やかで甘い営みの中、ふと、そんなことが○○の脳裏をよぎった。
そして……。
(そうだ……)
自分が同じように、ナギにしたら、どうなるだろうか。
○○は、思った。
ナギの残した痕が見えないように、○○はいつも衣で隠している。
ということは、上半身の、彼の肌に痕を残せたら……。
(ナギも…隠す……?)
情事の余韻を示すそれを、そのまま晒す…なんて……。
(そんなこと、ない…よね?)
普通はそうだよね…と、ナギに翻弄され、次第に溶けていく思考の中で○○はぼんやり考え…そして……。
ちゅっ……。
「ぇっ!?○○!?」
「……?つかない」
「え?な、なにが?」
いきなりの○○の行動に、ナギの声が裏返った。
(○○が…自分から、こんな…こと……っ)
○○の肌を愛撫して、吸い付くように唇を寄せて、たくさんの痕をつけて。
それはいつだってナギがしてきたことだ。
それを……。
「ど…した、の?」
問われると、○○も自分のしていることが恥ずかしくなる。
でも、ここで止めたら意味がない(と○○は思っている)。
「私…も……」
「え?」
何を…と先を促されても、もう恥ずかしくて言えないから。
後は実行あるのみ…である。
ちゅっ…ぅ…っ。
「ちょっ、○○……っ」