第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
-オマケ的後日談その一・希望的観測未来図-
あの夜から日々が過ぎ、深くも激しいナギの恋情と愛欲とに、○○は遂に陥落(?)した。
「んっ……ぁぁ、ん」
「愛してる…好きだよ、○○……」
「ふぁ……っ、ぁ、な、ぎ……、す…き……」
「○○……!!!」
愛しくてどうしようもない相手から好意を告げられたら、それだけでナギは暴走寸前だ(というより、既に暴走している)。
「きゃっ!?ナギ、またっ、ゃっ、ぁんっ!」
「○○…○○っ!!」
ぱんっ、ぱちゅん!
つい先刻治まったばかりの怒張は新たな…そして更なる灼熱を湛えて○○を貪り、ナギは腰を打ち付ける。
ぎしぎしと激しく軋むベッドで、それは夜毎繰り返される蜜事である。
そうして、激しくも幸せな睦み合いがひとしきり過ぎれば、ナギの優しい抱擁の内で○○が眠りにつくのが常、であったが、とある夜、それは少々異なっていた。
「ねえ、ナギ」
「どうしたの?○○……」
情事の幸福な気だるさの中、ナギは○○を抱き締めながら、愛しい少女の髪を撫でた。
と、○○は快楽の色を残した上気した頬と、潤んだ瞳そのままにナギを見上げてきて。
(か、かわいいっ!)
このまま、またすぐにでも抱きたくなる自分を、それでも必死にナギが堪えていると、そんな恋人の葛藤など露知らぬ○○が、そっとナギの頬…というより、その上にある眼帯に触れた。
「これ…取っちゃいけないの?」
それを外すことは、非常に恥ずかしいことだから、と、かつてナギは言っていた。
もちろん、○○もそれは覚えている。
でも、ずっと気になっていたのだ。
外してはいけない、という戒めでなく、『恥ずかしいから』というのが、何だか引っ掛かったのかもしれない。
こうして恋仲になり、夜毎肌を重ねるようになって。
けれど、眼帯だけはそのまま……。
それが○○を、何か隔たっているような、少しだけ淋しい気持ちにさせていた。
「○○……」
これはね、と、どう説明しようか困っているらしいナギを、○○はじっと見つめた。