第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
ただ、○○が何より大事なのは変わらないし、自覚している。
大切で、愛しくて……。
「○○………」
ナギは、泣きそうな面で○○を見つめた。
「傍にいたい」
だけど、それさえももう、許されないかもしれない。
「俺は……」
○○の傍にいられないのなら、もう、自分自身に意味なんて見出せないくらいなのに。
だけど、それと同じくらい…いや、それよりももっと、○○には笑っていて欲しい。
○○の笑顔を思い出した心が、ナギの気持ちをゆっくりと定めていく。
「○○の幸せが、俺の幸せ」
行き着いた答えに、ナギは宙を見据えた。
○○を連れ去るでなく、自分だけのものにするでなく。
○○が目覚めた時が、断罪の時……。
その時をただ、ナギは待つ。
彼女の下す裁きなら、どんなものでも受け入れようと、ナギは目を閉じた。