第2章 一日目 ☞ 昼
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ー古から伝わる、人の形をした人を食らう存在。人々はそれを〝人狼〟と呼び、恐れてきた。
人狼は今日も人々の間に紛れ込み、人々を食らう機会を伺っている。
人狼からの被害が増大した結果、人々は人狼を葬る為に必死に策を練った。
そして考えられたのが、人狼からの襲撃を受けた人々を隔離させ、その中で話合いで葬らせる無残な事だった。
僕の名前はルクルト、職業は探偵。
何の探偵をしているのか、それは人々に紛れ込む奴らを見つける事を仕事とし、その依頼は日々絶えない。
事件の現場に行っては人々の話に耳を傾け、推理してきた。
人々の話から矛盾や綻びを見つけ出し、追求する、それが僕の仕事。
しかし、それには犠牲が伴うこともあった。今までたくさんの人狼を葬ってきた反面、人間を殺してしまった事もある。
だが、人間にとって人狼は危険すぎる存在であり、それは仕方のない事であった。
??「ルクルト、もう着くよ」
探偵「ああ」
運転席で微笑む彼女はミカーナ。僕の助手であり、恋人でもある。
幾多の窮地を二人で乗り越えてきた。絶対の信頼関係がある。
そして、彼女はある特殊な能力を持っている。
助手「この旅館ね」
探偵「今回はどんな気配がある?」
助手「そうね、人狼が二匹、多重人格者、占い師、霊媒師、騎士ってところかしら」
探偵「....そうか」
そう、彼女には気配でどんな特殊能力者がいるのかが分かる。
それが誰かと特定の人物が断定できないのが欠点だが、この職業をしているにあたって貴重な情報である。
僕達は旅館の玄関近くに車を停めた。
??「貴方は、もしや探偵さんでありますかな?」
中から60代くらいの老人がでてきた。
探偵「そうです」
館主「おお、おお...!お待ちしておりました!私は館主のアシュフォードと申します。さあ、中へどうぞ」
館主に促され、僕達は旅館の中へと入っていった。